フレンチアクセントのSAKE

シャンパンの世界で最も尊敬されているセラーマスターとフランス系カナダ人のガストロモレキュリストの腕と技が“SAKE” の世界に加えられることになりました。

※ガストロモレキュリスト(gastro-moleculist )とは:ガストロノミーとモレキュリストを繋げた造語である。ここでは「モレキュラーハーモニー(分子の調和)」と称する新たな科学概念を打ち立てたフランソワ・シャルティエのことを指す。
スペインのスペシャリストFerran Centelles(elBulliのソムリエでもある)からのご縁で
2012年に初めてシャルティエに出会いました。
シャルティエがベストソムリエ賞を受賞した時で、その時彼はまだモントリオールに住んでいましたが、後にバルセロナに移ることになります。
彼の専門は「''味''と''香り''の科学」です。
'Créateurd'Harmonies'と称する彼は、この度、「TANAKA 1789 X CHARTIER ヴィンテージ2018 001」を最初の商品としてまさに、発表しようとしているところです。
まだパッケージが未完成の状態で日本から直送された初期のサンプルを試したので、パッケージについてはコメントできませんが、下の2番目の写真にある様に、”IWA”のマットなブラックのパッケージに似ています。

シャルティエは2017年に日本酒を創り出す事を考え、彼のバックグラウンドからおおよそ皆様が予想される通り、彼はこのプロジェクトにアプローチしました。
彼はこのように言っています。
「セラーマネージャー(杜氏)に、可能な限り最高のブレンドを創り出すため、ベースとして使用する酒の開発のいくつかのステップを調整できるかどうかお願いし、
そして彼はそのリクエストを受け入れ、精米を含む約9つの生産ステップを調整してくれた。」

たとえば、酒の精米歩合が65%であれば、35%の精米が済んでいることになります。
日本では古くから精米歩合が低い酒ほど、良いものであると信じられておりました。

私は長年、自身にずっと問いかけていたのです。
「ワインを作る際、ぶどうの皮を剥がすのだろうか。」と。

では、なぜそんなに米を磨いてしまうのか。
私の目標は、酒の本来の良さ,''魂''を失わずにワインのスタイルに近い酒を
作ることですので、日本酒を勉強して試飲を繰り返した結果、米の種類にもよりますが、より深い香り、うま味、そして酸味(ワインのような)を得るための最適な精米歩合は60%〜70%の間だと思います。

精米に関するRichard Geoffroyの、「精米率が高い程、より良いお米」という考えをまるで全く逆に映し出しています。

TANAKA 1789 X CHARTIERの最初の酒は、美山錦と山田錦の70%に精米された米と、60%に精米された
「蔵の花」(宮城県の素晴らしい地元の品種)で作られています。

酸味は、日本酒にとってHeavensakeチームやGeoffroyによって唱えられた様なネガティブなものではなくプラス要素であるとシャルティエは言います。

彼は自身の最初の商品である''SAKE''に関してこのように表現しています。
「酒の世界で初めてとなるブレンド酒であるこの日本酒は、自然な新鮮な酸味が特徴です。
世界最高の白ワインの優雅さと垂直性を連想させます。

一般的ではないが、彼は自身の酒を熟成させることを勧めています。
 「酸味、食感、うま味、すべてがゆっくりと口の中で広がり、ナッツとソトロンのような絶妙な香りに進化し続けます。」

「私はこの''TANAKA1789 X CHARTIER ヴィンテージ2018 001''を十分に堪能致しました。
($85 参考売価)

柑橘系とハーブの香りの絶妙な組み合わせの香りが残り、同時に味わったHeavensakeのお酒よりも舌触りが心地よく、さっぱりとしていました。そして実はかなりドライです。

最後にはほのかなアルコール(実際のアルコール度数は16.7%) と黒コショウを彷彿させるものでした。
ワインに例えるならばそれは若いブルゴーニュの白ワインでしょう。

白ワインと同じように飲むことを勧めるシャルティエは、アニスの香りと新鮮なバジルの香りがすることを示唆しています。
いい意味で確かな風味付けがされている為、とても印象深く、例えば暗いナイトクラブのような場所でもをはっきりとした印象を与えるでしょう。

ご承知の通り、シャルティエは、食とワインのペアリングのスペシャリスト。
私はこのSAKEにはどんな食べ物が合うか?と彼に尋ねずにはいられなかった

彼はこう答えたのです。
「シャルドネに合う食材全て、完璧に合います。そして驚くのはこれから!
信じられないかもしれませんが例えばチーズ。チーズのうま味は、純米酒のうま味の含有量と非常によく混ざり、また、チーズの塩味は、うま味をさらにアップさせてくれます。また、スペインのハモン・イベエリコなどの生ハム、和牛、豚肉の煮込みやホタテなどのうま味が豊富な食材との相性もまた完璧でしょう。」

これで、お酒の特徴が大体お分かりいただけたかと思います。

Jancis Robinson(2020年5月18日)
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www.jancisrobinson.com/articles/sakes-french-accent